2022.09.29

紀元前の大先生

2か月毎に2体づつセットされる一般教室の石膏像ですが、先月のブログで『笛を吹く女』を紹介しました。

今月のブログではもう一方の石膏像を紹介します。

名前はマルクス・トゥッリウス・キケロ(Marcus Tullius Cicero)~ラテン語です。
石膏像での名前は『シセロ』~英語読みですね。

紀元前106年1月3日に生まれ紀元前43年12月7日に死没。
政治家であり、弁護士であり、哲学者であり、文筆家でもあります。

数々の書籍は、後世のヨーロッパの知識人達に絶大な影響を与えていたり、14世紀イタリアではラテン文学における必読の書とされていたり、またフランスではフランス革命へと向かう、啓蒙主義、民主主義、共和制といった流れの中で大きな影響をもたらしていたり…
そして現代であっても高く評価されていることから、数々の書籍に触れることができます。

そんな哲学者で文筆家のキケロさん、沢山の著書の中に沢山の名言があります。

「始まりは、どんなものでも小さい。」

「今日を楽しんだ人は明日が待ち遠しくなる。」

「人間のやることなどほとんどが間違っている。しかし、間違いを間違いのまま放置している人を愚者という。」

「普段から嘘をついている人は何を言っても誰からも信用されなくなる。」

「厳しすぎる規則というものは人間に害しか及ぼさない。」

「思ったことをしゃべっていてはいけない。よく考えてから、物をしゃべるべきだ。」

「自分が知らないことがあることを告白するのは恥じることではない。」

「どれほどたくさんの知識を頭に詰め込んだとしても使わないのなら意味がないどころか重たいだけだ。」
 
「感謝の心は最大の美徳のみならず あらゆる他の美徳の両親なり。」

「命があるかぎり、そこには希望がある。」

「勇気がなければどれほどの知識があろうと賢者にはなれない。」

「最も大切なのは大胆さ 次に必要なのも大胆さ その次に必要なものといえばやはり大胆さだろう。」

「第2の天性は習慣によって作られる。」

「幸福な生活をおくるには心の平和を保つ必要がある。」


なかなか凡人にはあたりまえのことが、あたりまえに出来ないものですよね。
どの言葉も心に刺さります。


因みに写真左の石膏像シセロはフランスの図書館(パリ・マザラン図書館収蔵)に原型の彫刻が収蔵されています。
さすが大先生、いろんなタイプの彫刻になっていますね。
2022.09.15

LED蛍光灯

事務員をやっていると備品のメンテナンスが気になります。
特に蛍光灯の生産中止が気になります。

蛍光灯の生産が中止になると、
今の照明器具では駄目だと...国から補助金が出るので、全て交換しましょうと...日々営業の電話がかかってきます。
でもこれは水銀量の問題で、生産がストップするわけではないと書いてあるサイトもあるし...。

で、照明器具を変えずに済むLEDを試してみました!!!!
答えは全然大丈夫。三ヶ月経ちます。

今は、強気に断っています。
2022.08.30

一般教室・9月10月のモチーフ

9月は2カ月に1回のモチーフの組み換え月。
石膏像2種、静物2種が新しくなります。

冒頭の写真は、ローマ国立博物館・アルテンプス宮に収蔵されている、紀元前460年頃に制作された石彫。
名前は『ルドヴィーシの玉座』。

コの字の形をしたこの石彫は、ローマのルドヴィーシ家の領地で発掘されたことから、
”ルドヴィーシの玉座”と呼ばれています。
しかしこの玉座、紀元前480年頃に再建されたアフロディーテ神殿の礎石部分に一致するような痕跡が見つかったり、この神殿に奉納されたテラコッタの飾り板などの様式と共通する部分が多いことから、現時点では玉座ではなく、祭壇の装飾のためのものとする説、地面に掘られた儀式用の穴を囲う柵や欄干のようなものとする説、石棺とする説、などいろいろと考えられているようです。

そしてこれらレリーフ彫刻は、女神の出産の場面を表しているとする説や、女神の沐浴の儀式とする説、ペルセフォネの地上への回帰の場面とする説などいろいろと考えられているようで…

制作された紀元前460年といえば日本だと縄文と弥生の境界あたりの大昔。
その時代の人間が、何の為に何の目的で作ったのか、思いを馳せるだけでわくわくします。
熱意を持って作ったものは時代を超えてもなお美しいですね。

今回の一般教室のモチーフになるのは、左側面のレリーフ彫刻。
名前は「笛を吹く女」。
ちなみに背面にあたる部分は「アフロディテの誕生(ヴィーナス誕生)」、右側面は「香を焚く女」の名前が付いています。

今月もまた、楽しんで絵を描いてください。


レリーフ彫刻における、均等な厚みの中で奥行を伝える立体表現は、絵の具の厚みの対比で空間を感じさせる絵画表現と類似しています。
レリーフの理解は油彩や着彩のヒントになるでしょう。
2022.07.21

一般教室・7月8月のモチーフ

今年の夏はいろいろな所でお祭りや花火大会が開催されるようです。
2年以上も季節の行事が中止されていると、はるか昔のことを懐かしんでしまうような感覚になってしまいます。

夜店の屋台で焼きそば、たこ焼き、ラムネやビール、金魚すくい…楽しそうだなぁ~。

そんな気持ちが現れてしまった7・8月の静物モチーフです(写真)。
石膏像は涼し気に微笑むパジャントと少し暑苦しいお髭のヘラクレス。

暑い日々はこれからまだまだ続きますが、少しでも涼を感じながら絵を描いてください。

一般教室のモチーフの部屋は、2カ月毎にモチーフが組み替えられます。
次の組み換えは9月☆
2022.06.28

色彩構成のコツ!
デザイン科の強化課題!

今年度がスタートしてから早くも3カ月。受験生は美大入試で求められてくることの全体が見えてきていることでしょう。
そして同時に自己レベルと大学合格レベルにギャップを感じることとなり、今まで以上に向上心を持ち始める時期でもあります。

そこで7月は、一歩踏み込んだ学習を行う強化月間!

色彩構成のコツの一つ「色と明度と形を繋ぐ」を学習します。
そこで以下の課題。(写真参照)

【必要画材】
B3サイズ、ケント紙、アクリルガッシュ、鉛筆
【課題】
5明度5色相で写真表現を行う。
【手順】
①各自が用意した写真のコピーと同じサイズの画面枠を描く。
②画面の右側に4×20cm枠をつくり、一辺4cmの正方形5個で区切る。
③基調色を決定し、5段階明度のどの位置になるかを確認して塗る。 
④その他の4段階明度の色を決定する。
⑤その他の4段階の色は、基調色に対して、配合色/強調色/決定色(→※)+補助色として考える。
⑥写真を転写し上記で決定した5色のみの平塗りで仕上げる。

【基調色】
全体のイメージを決めるベースの色のこと。基調色は配色される色のなかで、最も面積が大きい。
【配合色】
一般的には基調色に対して、あとから合わせる色のこと。また基調色のイメージを決定付けるものでもある。配合色は全体に占める面積の20%~40%程度が一般的。
【強調色】
全体を引き締める役割。その意味で基調色と色相差をつけたり、トーン差をつける。全体の面積は~10%程度がふつう。
【決定色】
さらに強調色を追加。最後に全体の印象を決定づける。かなり小さめな面積1~2%程度です。

・基調色の考え方とは別に、主張色というものもあります。ドミナントとは、「支配的な」「優勢な」という意味。同一色相で統一感をだした配色法のことです。暖色や寒色のように一つの支配的な色相で全体を整え、色味のイメージを前面に打ち出す配色方法です。


◎秩序ある彩色で明解な画像を作り出し、形の安定が説得力のある作品をつくることを実感するための課題です。

(作品は多摩美術大学グラフィックデザインへ合格した生徒の作品です。)
2022.06.22

新任講師のご紹介

○馬場 健一先生○
大変優しい感じの先生です。宜しくお願いします!!
アニメーター、デザイナー、映像、イラストをやってこられましたので、絵画指導はお任せください!!
・主な作品
機動戦士ガンダム、ルパン三世、銀河鉄道999、ドカベン、星の王子様、ガッチャマン、ザ・ウルトラマン、赤毛のアンなどのアニメ作品。おもちゃ、工業デザイン、化粧品、芸能関係のデザイン。
2022.06.22

TVロケ

6/6(月)にテレビ朝日のロケがありました。

当校絵画技法講師の吉川 聡先生と高橋 亮馬先生がラピスラズリからフェルメールブルー(天然ウルトラマリン)を再現して、模写をする内容です。
世界の絵具メーカーや美術館・美術大学・保存修復機関とお仕事をされているお二人の技術は、大変見る価値がありました。

しかし、一昨日に「顔料があまりに綺麗に撮影できてしまったため…、模写のシーンがVTRに入れ込めておりません」と連絡がありました。美術学校なのに絵画制作シーンがカット????。
恐るべしフェルメールブルー。皆、色の魔法にかかってしまったのでしょうか?
それとも、You Tubeで絵画制作プロセスが沢山見れるので、価値を見いだせなくなったのでしょうか?
そんな一日でした。

2022年6/30(木)夜8時からテレビ朝日の林 修先生の番組で放映される予定です。
数分程度ですが、興味がある方はご覧くださいませ。

※番組に関係する先生のグッズも通販で購入できます。
クサカベ絵具・奈良俵屋工房・絵具屋三吉・ウエマツ画材店・喜屋など
※番組で制作された現物は、奈良俵屋工房様が限定販売しております。
https://naratawarayakobo.raku-uru.jp/item-detail/1182160
※専門家の方へ・・・精製と抽出作業は、番組の性質上省略されていますのでご承知ください。
2022.05.30

一般絵画教室のモチーフはミケランジェロ特集!

一般教室では、2か月毎に石膏像2種と静物2種のモチーフが組み替えられます。
5月、6月のモチーフでしたので、あと1か月間のセットです。

石膏像はメディチとブルータス。
そして静物モチーフにもメディチ像が組み込まれています。
今回のセット担当が狙ったのか?ミケランジェロ特集!

因みにミケランジェロは、イタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人、社会活動家で、西洋美術史上のあらゆる分野に、大きな影響を与えた芸術家です。
そのミケランジェロ作のメディチ像を紹介しましょう。
(同じくセットされている、ミケランジェロ作のブルータス像の紹介はそのうちまた☆)

写真左の人がヌムール公ジュリアーノ・デ・メディチ。(1479年3月12日~1516年3月17)
石膏像メディチの原型です。
そして写真右はウルビーノ公ロレンツォ・デ・メディチ。(1492年9月12日~1519年5月4日)

ジュリアーノは37歳の若さで、ロレンツォは26歳で亡くなっています。
若くして没した二人を悼んでそれぞれの兄であり叔父にあたるローマ教皇レオ10世は、彼らの墓廟の制作をミケランジェロへ依頼したそう。
この二人の像はメディチ家礼拝堂(フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂に付属する、「新聖具室」と「君主の礼拝堂」と呼ばれる2棟の建物の総称)にあるのですが、この新聖具室の設計、ジュリアーノとロレンツォの彫刻、新聖具室に葬られるメディチ家の主要な一族の霊廟のための彫刻群をつくりました。

因みにミケランジェロの最高傑作の一つの「新聖具室」と対を成す形となっている「旧聖具室」はブルネレスキとドナテッロによるもの。
ドナテッロは石膏像になっているジョルジョやガッタメラータを作った人ですね。
美大受験生には御馴染の人達です。

石膏デッサンは人物の構造学習や、陰影法の学習に最適です。
しかし石膏像をデッサン教材としてだけで見るには勿体ない!
偉大な美術家が作ったその時代を感じて歴史もデッサンしてくださいね。
追及する楽しさが違ってきます。
2022.04.26

美大受験本番に向けて。

2022年度がスタートして1か月が経とうとしています。
新生活に慣れてきたころでしょうか。

そこで美大受験科では入試本番に向けて本腰を入れるべく、早々に模擬試験を行います。
内容は、実技「鉛筆デッサン(12h)」と学科「英語(1h)」「国語(1h)」の3科目。

模擬試験は、『自力でどこまで出来るかを知る』『点数評価から自己レベルの確認をする』『試験に慣れる』が目的で、今後のレベルアップに役立てていくものです。
そして重要なのは、その後に行われる講評会。
自分の作品を客観的に見て、試験で何が求められているのかを知り、美大の合格レベルに達するための原動力にしてください。

春先の試験なので、結果に一喜一憂しないでくださいね。
デッサンの描き方を学ぶことが大切です。

入試の本番はまだまだ先。
まずは一歩前進!

がんばれ受験生!
2022.04.04

膠の湯煎

日本画を描かれている生徒様のために膠を湯煎しているのですが、先生によって出来がマチマチ。
そこで専用の湯煎機購入を考えたのですが、そこまで大量には使わない。

でも丁度良く安いのがあったのです!!
哺乳瓶を温めるやつ。コップ2杯分。埃カバー付。それも4249円!!

多分、皆知っているのかもしれないですが、私は感動しました。
良い一日でした。