2024.04.25
石膏デッサンのモチーフはグラディエーター

ちょっとだけ長く生きている映画好きの人であれば、2000年公開のハリウッド映画 『グラディエーター』 は記憶にあるのではないでしょうか。
鍛え上げた己の肉体と剣を頼りに戦う主演のラッセルクロウの姿はカッコよく、ワクワクして観たのを思い出します。
グラディエーターとは古代ローマ時代の戦争捕虜が剣闘士や猛獣との戦いを強いられた奴隷のことで、円形闘技場(コロッセウム)で開催されるその殺し合いショーは、市民への見世物になっていました。
画像①の彫刻の名は、「ボルゲーゼ グラディエーター (ボルゲーゼの剣闘士)」
紀元前100年頃に制作された原作を、ローマ時代に模刻した大理石の彫刻です。
名に「ボルゲーゼの…」と付くのは、17世紀ローマの名門貴族ボルゲーゼ家の美術コレクションであったためですが、「グラディエーター(剣闘士)」の名は、後の考古学研究からグラディエーターではなく「馬上の敵と戦う兵士の像」と判明したようです。
欠損部分だった剣と盾を付け加えて作られたコピー彫刻の画像②をみると、盾で攻撃をかわして身を守り、馬に乗った騎兵へ剣で反撃するシーンであったことが想像できます。
しかしこの彫刻が注目されたのはローマ時代だったため、戦う男=グラディエーター(剣闘士)ということになったのでしょう。
驚きなのはデフォルメ表現です。
人間の頭部は本来顔面と側頭部が直角の関係ですが、この像の右頬と眉骨は前方へ伸び、左側は潰れて平行四辺形のようです。(画像③)
現代の漫画やアニメでは、動きの速さを強調するために形を引き延ばして残像として見せたり、迫ってくる迫力を出すために極端に巨大化させたりする変形の演出は普通に行われていますが、この闘志像もまた同様に顔を変形させることで勢いよく敵の方へ振り向き、遠心力を使って剣を振り上げようとする動きを強調していたのです。
リアルで美しく作ることが重視されている2000年以上前のギリシャ時代に、このような演出をしつつも普通の人間として見せている造形テクニックにアーティストの拘りを感じます。
石膏像『ボルゲーゼの闘士』 の胸像は一般絵画教室で5月6月のモチーフとしてセットされていますので、戦う男の躍動感をかっこよく描いてくださいね。
鍛え上げた己の肉体と剣を頼りに戦う主演のラッセルクロウの姿はカッコよく、ワクワクして観たのを思い出します。
グラディエーターとは古代ローマ時代の戦争捕虜が剣闘士や猛獣との戦いを強いられた奴隷のことで、円形闘技場(コロッセウム)で開催されるその殺し合いショーは、市民への見世物になっていました。
画像①の彫刻の名は、「ボルゲーゼ グラディエーター (ボルゲーゼの剣闘士)」
紀元前100年頃に制作された原作を、ローマ時代に模刻した大理石の彫刻です。
名に「ボルゲーゼの…」と付くのは、17世紀ローマの名門貴族ボルゲーゼ家の美術コレクションであったためですが、「グラディエーター(剣闘士)」の名は、後の考古学研究からグラディエーターではなく「馬上の敵と戦う兵士の像」と判明したようです。
欠損部分だった剣と盾を付け加えて作られたコピー彫刻の画像②をみると、盾で攻撃をかわして身を守り、馬に乗った騎兵へ剣で反撃するシーンであったことが想像できます。
しかしこの彫刻が注目されたのはローマ時代だったため、戦う男=グラディエーター(剣闘士)ということになったのでしょう。
驚きなのはデフォルメ表現です。
人間の頭部は本来顔面と側頭部が直角の関係ですが、この像の右頬と眉骨は前方へ伸び、左側は潰れて平行四辺形のようです。(画像③)
現代の漫画やアニメでは、動きの速さを強調するために形を引き延ばして残像として見せたり、迫ってくる迫力を出すために極端に巨大化させたりする変形の演出は普通に行われていますが、この闘志像もまた同様に顔を変形させることで勢いよく敵の方へ振り向き、遠心力を使って剣を振り上げようとする動きを強調していたのです。
リアルで美しく作ることが重視されている2000年以上前のギリシャ時代に、このような演出をしつつも普通の人間として見せている造形テクニックにアーティストの拘りを感じます。
石膏像『ボルゲーゼの闘士』 の胸像は一般絵画教室で5月6月のモチーフとしてセットされていますので、戦う男の躍動感をかっこよく描いてくださいね。